衆参両院での統一会派結成に踏み切った国民民主党の玉木雄一郎代表と自由党の小沢一郎代表が、通常国会初日に有楽町街宣演説をしたのが1月28日。
その3日後の1月31日、橋下徹・前大阪市長がホスト役をつとめるAbemaTVの冠番組『NewsBAR橋下』に両代表がゲスト出演、対談をした。収録場所は、テレビ朝日本社に近い六本木三丁目のBARスタイルのスタジオだった。
都心がみぞれ交じりの風雨に見舞われた31日午後9時すぎ、玉木代表と小沢代表と橋下氏が次々とスタジオ入りをするところを直撃したが、「何を話すのですか」の問いかけにほとんど無回答状態。玉木代表は笑みを浮かべただけで、直前に出演が決まった小沢代表も「僕は聞いていない」と言うだけ。
橋下氏に至っては、収録スタッフが事前に「私人ですから」と写真撮影と取材禁止を要請。別の場所でメイクと着替えを済ませた橋下氏が乗ったワゴン車が入口前で止まると、車中の同乗者が人垣を作ったところで、最後尾に座っていた橋下氏がスタジオ入りをした。有名芸能人や大物政治家と同等以上の自称「私人」である。それでも「橋下さん、何を話すのですか」と声をかけたが、無言のまま振り返ることもなくスタジオ入りした。
対談の収録時間は午後9時40分から午後10時40分で、生放送ではなく、1週間後の2月7日夜に放送予定。スタジオ内への立入は禁止されていた。
収録後、「どんな話をしたのですか」との質問に無回答のまま車に乗り込んだ小沢代表とは対照的に、玉木代表に同じ質問をすると、「いやあ、面白かったよ。小沢さんが(橋下徹さんに)しきりに働きかけていたよ」と答え、スタジオ近くの飲食店を借り切っての囲み取材に応じた。
店内のカウンター席とボックス席が約10名の記者たちでほぼ満席状態となる中、ボックス席奥に座った玉木代表が収録内容を約40分、熱っぽく語っていった。若干、アルコールが入ったこともあってか、高揚感あふれる口調で「今日は三人で会ったことがニュースだ!」「まあ、時代を動かして行こう!」と語り、囲み取材が終わった後もカラオケで、昨年テレビドラマの主題歌や挿入歌で大ヒットした、シンガーソングライターの米津玄師やあいみょんの歌を何曲も披露するなど、約20分の独演会で、終始上機嫌だった。
『週刊現代』2018年11月24日号は、国民民主党の内実を次のような書き出しで伝えている。
「国民民主党の議員たちは、いま取り憑かれたように一冊の本を読みこんでいる。ある幹部議員は4度読んだと言っていた。
ある3回生議員は、何十という付箋を貼り、フレーズを暗唱していた。
〈今は安倍一強が長く続いているが、現在の選挙制度はひとたび与党に信頼失墜が起きれば、いつでも政権交代の風を吹かせることができる〉『政権奪取論』という新書である。
国民民主党は、結党半年にして政党支持率が0.8%だ。瀕死の党の議員たちが、バイブルとして崇めるのがこの本だ。
彼らの救世主こそが、本の著者・橋下徹である」
- 週刊現代2018年11月24日号「安倍首相・衆参ダブル選の可能性と、気になる『橋下徹氏の動向』」(現代ビジネス、2018年12月12日)
『週刊現代』の同記事は、さらに、以下のような国民民主党幹部の証言を紹介している。
「国民民主が中心となって絵を描き、野党共闘に橋下を引き入れようとしているのは事実だ。
立憲民主と共産党を除く野党と無所属で統一会派をつくり、事実上一つの政党にしたうえ、やがて立憲との連携につなげる。そのときのトップは橋下にするという案だ」
「我々国民民主党は、腐っても全国に組織があるし、一定のカネはある。
橋下さんに居抜きで渡して新党を作ってもらってもいいし、初めは無所属でも構わないと思う。とにかく野党連合のアタマになってくれればいい。実務は小沢さんがやる」
以上のような『週刊現代』の記事中の証言は匿名であるため、「信用性」に疑問がある、という人もいるだろう。だが、今回は違う。玉木代表が自ら語っているのである。
2017年の衆院総選挙で、人気絶頂だった小池百合子知事の旧・希望の党と合流して安倍政権打倒を目指した途端、小池氏による改憲と安保法制を踏み絵とした排除の論理で、民進党は四分五裂した。その結果、自民党勝利をアシストしたという大失敗の反省も総括もないまま、あろうことか「ポスト安倍」にあの橋下徹氏を担ぎ上げようというのだから、懲りない面々というほかない。
玉木代表の「ぶっちゃけ」トークを全文明らかにする。野党再編ならぬ「ゆ」党再編の舞台裏をとくとご覧いただきたい。
小沢代表が橋下徹氏にしきりに政界復帰を働きかけた!? 秋波以上、かめはめ波を送っていた!?
横田「どういうきっかけで三人で対談することになったのですか?」
玉木代表「昨日、橋下さんと番組に出ることを小沢さんに伝えたらOKが取れました。クイックに決めました」
横田「橋下さんと玉木さんはどういうきっかけで対談することになったのですか?」
玉木代表 「時々会っていますから」
横田「何回ぐらい?」
玉木代表「言えないな」
玉木氏秘書「橋下さんと羽鳥さんの番組にも何回も出させていただいていたので」
玉木代表「とりあえず、飯を食ったりしていましたからね。森友問題の時も一緒に出ていました。ガンガン追及していく頃で、橋下さんは『追及しないと政府の規律が緩むから』と評価してくれた。結局、解明されないままなのだけれどもね」
他社「三人で会う次の約束はしたのですか?」
玉木代表「また(番組に)出ますから」
横田「結局、橋下さんは政界復帰に前向きなのですか?」
玉木代表「否定する理由が『自分は嫌いな人を含めてまとめるのが出来ませんよ』と言っていたのですが、逆に言うと、それだけしか理由がない」
他社「今回はカメラが回っている間しか話をしていないのですか?」
玉木代表「全部、回したまま。それでも結構面白い話が出た。さすがにカメラが回っているので、それほど突っ込んだ話は出なかったけれども、かなり面白かった」
玉木氏秘書「小沢さんが橋下さんに秋波以上に、明確に送っていました」
玉木代表「かめはめ波を送っていました」
他社「『比例でどうだ』ぐらいの話ですか?」
玉木代表「もっと大きな話ね」
横田「(週刊現代に出ていた国民民主党内の声である)『野党のアタマになってもらいたい』とか、そんな感じですか?」
玉木代表「まあ、いろいろな話をしましたね」
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