Quantcast
Channel: 橋下徹 – IWJ Independent Web Journal
Viewing all articles
Browse latest Browse all 156

2013/09/28 【大阪】「9月29日投開票直前特集・堺市長選挙」 ~大阪都構想をめぐって民・自・共がサポートする現職VS維新の構図~国政への影響をもはらんだ、目が離せない展開に

$
0
0
投開票直前特集・堺市長選挙

 「堺市民にとって大阪都構想は百害あって一利なし」と現職候補が声を上げれば、維新公認の新人候補は、「堺という地名はなくならない。なくすのは市長という役職と市議会だけだ」と強調する―。9月29日(日)に投開票が行われる、大阪府堺市の市長選挙。無所属で、民主党が推薦し自民党が支持する、現職の竹山修身(おさみ)候補(63)と、地域政党・大阪維新の会の公認で出馬している新人、堺市議を4期務めた西林克敏(かつとし)候補(43)の一騎打ちとなっている。とりわけ、維新陣営が掲げる大阪都構想の実現には堺市の参加が不可欠であることから、大阪都構想への賛否が最大の争点となっている。

このアーカイブの完全版は、IWJ会員のみ閲覧・視聴ができます。
会員の方はここをクリックしてください。
会員登録はこちらから。
このアーカイブだけを有料で閲覧・視聴する場合はこちらから。

■維新にとっては「背水の陣」

 大阪市長の橋下徹氏が率いる大阪維新の会は、2010年4月に「大阪都構想」の実現を目指して結成された地域政党。大阪都構想とは、大阪府と大阪市、さらに2006年に大阪府下で2番目の政令指定都市に昇格した堺市で、重複する行財政項目のムダを省き、業務に掛かる費用の削減や効率化を図ることを目的としている。具体的には、大阪府・大阪市・堺市を解体し、広域行政を担う「大阪都」と、住民に密着した行政サービスを行う複数の「特別区」に再編することを目指している。

 西林候補の維新陣営は、大阪都構想の周知を呼びかける「ワン大阪」(One OSAKA)というキャッチフレーズを強調し、府と市がバラバラに行政を行うのではなく、「ひとつの大阪」として一体感のある行政運営を行うことで、「東京都に対抗できる総合力を発揮できるように改革していきたい」との主旨を繰り返し訴えている。

 ただ、大阪都構想には高いハードルが立ちはだかる。「二重行政の象徴」として、橋下氏が目指していた大阪府と大阪市の水道事業の統合は、議会の理解が得られずに事実上頓挫。さらに、大阪都構想参加に不可欠となる堺市の参加をめぐって、堺市が解体されることに地元の反発が根強いのに加え、維新陣営が堺市長選挙への立候補を打診していたテレビ局アナウンサーに出馬を断られるなど、候補者選びも難航。結果的に、堺市議を4期務めた地元出身の西林候補が出馬することとなった。

 もし、堺市長選挙で西林候補が敗れるようなことになれば、大阪都構想への堺市の参加の可能性は事実上消滅し、大阪都構想実現にとって致命的な打撃となる。さらに、大阪都構想の実現を目的として結成された大阪維新の会の存在意義が問われることとなり、さらに、大阪維新の会から派生した国政政党・日本維新の会をも巻き込み、選挙終了後の政界地図にも少なからぬ影響を及ぼす可能性をはらんでいる。

 選挙戦において、西林候補は、「堺はなくならない。なくすのは(堺)市長という役職と(堺)市議会だけだ」と訴えているほか、橋下氏が連日応援に入り、「相手陣営が、『堺市がなくなる』と言っているが、堺という地名はなくならない」と繰り返し述べ、「火消し」に努めている。一方で、全国の地方都市と共通する問題点として、堺市内においても、駅前商店街の衰退が著しいことなど、商環境整備や街づくり政策に対して商店主や市民から不満の声が多数上がっており、維新陣営の改革力に期待する声も多数聞かれる。西林候補は、「大阪都構想を実現し、堺を再び活性化させたい」とアピールに力を込めている。

 選挙戦中盤での新聞各社の世論調査では、竹山陣営がややリードしているとの調査結果が発表されており、西林陣営では、橋下氏のほか、日本維新の会共同代表を務める石原慎太郎前東京都知事や、大阪府知事の松井一郎幹事長、東国原英夫衆議院議員らが堺入りするなど、総力を挙げて巻き返しを図っている。

■竹山陣営は、「大阪都構想は百害あって一利なし」と強調

 現職の竹山候補は、街頭演説において、派手さはないものの堅実路線を採った4年間の実績を強調。また、「本来、今回の選挙は、大阪都構想が論じられるべきものではない。子育て、文化、ものづくり、堺のあり方が問われる選挙だ」と強調した上で、「大阪都構想の『一丁目一番地』である水道事業改革ができなかった。大阪都構想は色あせて粉飾化している」と厳しく批判。さらに、「(大阪市と違って)堺は大阪府との間の二重行政の状態にもない。堺の健全財政や年460億円の税収が狙われている。堺市民にとって大阪都構想は百害あって一利なし」と主張し、「堺はひとつ。堺のことは堺で決める。堺はこれからも政令指定都市として発展していく」と力説。大阪都構想に真っ向から対決する姿勢をむき出しにしている。

 無所属で出馬している竹山候補に対しては、同候補を推薦する民主党から、堺市の小学校に通ったことのある辻元清美衆議院議員らが応援に駆けつけている。自民党は、国政において憲法改正などで維新の協力を得たいという思惑から、「推薦」は見送り、関与の度合いが低い「支持」を打ち出している。しかし、自民党大阪府連は、大阪市議会などで維新と対決しており、地元で知名度の高い柳本卓治参議院議員や岡下信子元衆議院議員らが、大阪都構想反対を掲げる竹山候補の応援に駆けつけるなどバックアップ。党本部の方針との「ねじれ」を起こしている。また、市長選挙と同時に実施される、一部の区での市議会補欠選挙に出馬している自民党候補者が、竹山候補と協力して選挙活動を展開している。

 さらに、日本共産党は独自候補の擁立を見送り、竹山候補への「自主支援」を打ち出している。堺市内での大阪都構想に反対する集会を支援しているほか、同党書記局長の市田忠義参議院議員が堺市内の街頭演説で竹山候補への支援を呼びかけるなど、強力にサポートしている。

 特に、政党以外からも強力な援軍として、日本サッカー協会の川淵三郎キャプテンが竹山候補を全面的に支援。川淵キャプテンは堺市育ちであることや、通った高校が同じであること、さらに、2010年にオープンした国内最大規模のサッカー練習施設の設置に竹山氏が協力した経緯から、竹山候補を支援。実際、堺市内の至るところに、竹山候補を応援する内容の川淵キャプテンの顔写真入りポスターが大量に張られている。

 ただし、懸念材料もある。竹山候補は、4年前に堺市長選挙に出馬した際、橋下氏の全面バックアップを受けて初当選した経緯がある。しかし、2010年4月に発表された大阪都構想によって堺市が解体されてしまうことに危機感を覚えた竹山候補は、大阪都構想に反対を表明し、橋下氏と決別。その経緯をめぐり、「前回の市長選前に、竹山氏に都構想(の概要)を語っていた」とする橋下氏と、「当時は都構想自体がなかった」と主張する竹山候補が真っ向から対立。選挙活動に回る竹山候補に対し、一部の市民から「裏切り者」と罵声が浴びせられる場面もみられた。また、西林陣営が主張している、「駅前商店街の衰退」などの諸問題が現実に存在しており、抜本的改革を求める維新支持者のみならず、抜群の知名度を誇る橋下氏の無党派層への訴求度合いによっては、「やや優勢」とされている竹山候補を、西林候補が巻き返す可能性もある。

 地方都市の市長選挙という枠を超え、国政への多大な影響をもたらす可能性をはらんだ堺市長選挙。9月29日夜に結果が判明する。
【IWJテキストスタッフ・久保元】

■関連記事


Viewing all articles
Browse latest Browse all 156

Latest Images

Trending Articles





Latest Images