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【IWJ特報!143-146号】歴史修正主義者の詭弁を徹底論破! 能川元一氏インタビュー第2部~従軍慰安婦編(ePub版を発行しました!)

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特集 戦争の代償と歴史認識

★有料メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」最新号を発行しました。旧日本軍による従軍慰安婦問題、歴史修正主義者に特有の論法とは?

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以下、冒頭部分を特別公開!

 前回お届けした「第1部~南京大虐殺編」では、作家でNHK経営委員である百田尚樹氏などによる歴史修正主義的な発言を取り上げ、それと能川氏が提示する一次資料を照らし合わせながら、彼らの発言が「嘘」であることを証明していった。

 「第2部~従軍慰安婦編」では、再度歴史修正主義者の発言をひとつひとつ分析して、彼らに特有の思考パターンを析出するとともに、従軍慰安婦問題に関する政府の答弁書の欺瞞を徹底的に追及する。

 従軍慰安婦問題といえば、昨年5月13日、大阪市の橋下徹市長の口から飛び出した、「あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている(旧日本軍の)猛者集団に(慰安婦が)必要なのは誰だって分かる」という発言が記憶に新しい。橋下氏はこの発言を巡って国内外から大きな批判を受け、自民党内や安倍政権の閣僚からも批判が相次いだ。

 しかし、安倍総理を筆頭に、従軍慰安婦問題に関する安倍政権の閣僚の基本的な考えは、橋下氏と大差がないように考えられる。

 第一次安倍政権下の2007年3月、安倍総理は、従軍慰安婦問題で謝罪と反省を述べた「河野談話」について、「狭義の強制性を裏づける証拠はなかった」と答弁した。

 2012年12月4日には、アメリカのニュージャージー州の地元紙「スターレッジャー」に、安倍総理、古屋圭司国家公安委員長、稲田朋美行革担当相、下村博文文科相、新藤義孝総務相らが連名で、「女性がその意思に反して日本軍に売春を強要されていたとする歴史的文書は発見されていない」「(慰安婦は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などとする意見広告を掲載した。

 このように、第一次安倍政権から連綿と続いてきた、安倍総理とその「お友達」による、従軍慰安婦の存在を否認したいとの思惑は、第二次安倍政権で、河野談話の検証チームを立ち上げるというかたちで噴出した。

 2月28日、菅義偉官房長官は、河野談話について、検証を行う作業チームを作ると発言した。談話の見直しについては「政府の基本的立場は官房長官談話を継承する」と否定しているものの、検証チームの作業は行われるのだという。

 「第一部」の前文でも触れたが、「河野談話」の検証は、裏づけ調査が不十分であったことを明らかにすることに政治的な狙いがおかれている。「談話」の信頼性を失墜させることを目的にしているものと思われるが、その一方で、「談話を継承する」と発言するのだから、「二枚舌」を批判されても仕方がない。

 重要なことは、戦前の日本政府との間に断続性はない、ということだ。戦後の日本政府は革命によって刷新された政府ではない。戦後の日本政府は、戦前の政府を継承しているのである。

 戦争終結を前にして、軍部を含めた日本政府は、戦争遂行に関わる重要な文書や証拠を組織的に破棄・焼却した。自らの手で証拠隠滅をはかっておきながら「証拠がない」「文書がない」と言い張る。そんな話がどうしてまかり通っているのか。

 南京虐殺のような戦争犯罪にせよ、慰安婦制度への関与にせよ、政府が行い、政府が証拠隠滅をはかり、政府が反省の「談話」を出して、その政府が「談話」の検証が必要だ、などと言い出しているのだ。検証するならば、侵略戦争遂行や植民地支配の全過程と慰安婦制度発足と運営、そして証拠隠滅の経緯すべての検証が必要ではないか。なぜ「談話」だけの検証にとどまるのか。茶番もいいところである。

 能川氏は、2007年3月の安倍総理による「狭義の強制性はなかった」とする答弁の矛盾点を鋭く突くとともに、今、改めて河野談話を検証することの問題点を、分かりやすく解説した。

 新大久保や鶴橋といったコリアンタウンでヘイトスピーチが吹き荒れ、それがさらに、「アンネの日記」を破損するようなホロコースト否定論とも結びつくような事態に立ち至った今、歴史認識について改めて考えるためにも、「第1部~南京大虐殺編」に続き、必読のインタビューである。

歴史修正主義者に特有の「ゴールポストを後退させる」否定パターン

岩上「さて、ここまでお話をうかがってきて、多くの資料があり、大変詳しい記録が残っているということが分りました。これを見ると、南京虐殺はなかったと称している人たち、つまり日本版の歴史修正主義者たちは、もうぐうの音も出ないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか?」

能川「そうだったら、苦労はしないんですけれども、実際になかなかそうはいきません。彼らが、最終的にこういう資料を提示されたらどうするのか、ということなんですが、一つは、そういう資料は信用できないという形で否定するというパターンがあります。それから、もう一つ、『結局、被害者は30万人じゃないじゃないか』と言うパターンがあります。これが、非常に多いですね」

岩上「焦点をすり替えていくということですか」

能川「どんどん後退させていくのです。最終的には、中国が言っている30万人じゃないんだったら問題だ、と。ところが、実際には、歴史上のこういう大虐殺で、被害者の数がはっきり分かっている方が、むしろ稀ですよね。ポルポト派による虐殺でも、最近だとルワンダとか、ダルフールだとか、こうしたところでも実は被害者の数を正確に推定するというのは、簡単なことではありません。

 なぜかというと、大量虐殺というのは、本来だったら証人になりうるような人も、証拠も、殺したり破壊したりしてしまうからです。一人の人間が普段、平和の時に死ねば、何十人という刑事や検察官が揃って捜査して、犯人を裁判にかけて、有罪無罪を決めるわけです。しかし、何万、あるいは何十万という人が殺されたときは、そんなに丁寧な調べもできません。必然的に、犠牲者数がはっきりしないというのは、むしろ当たり前だと思います。

 あたかも犠牲者数がはっきりしないのはおかしいかのように彼らは言うけれども、大量虐殺というのはそういうものではないのです。むしろ、犠牲者数がはっきりしないのが本質だということです」

岩上「先ほどの陣中日記にもありましたように、現場の部隊のところでは、『処理をしなきゃいけないから大変だ』、といったことを書いているわけですね。しかし、これを知った当時の外務省などの高級官僚や、あるいは軍のエリートは、出先がめちゃくちゃなことをやって、『これはたいへんだ、これは人道にもとることだ』という認識が、あることはあるわけですね。

 しかし、現場のほうは、大変なことをやっているからこそ、その証拠を残らないようにしてしまえということが、常識として横行していたりするのではないでしょうか。証拠が残らないようにしていることを、『証拠が残ってないんだからやってないだろう』とか、『数が揃わないんだから不確かだろう』というふうに、歴史修正主義者たちは言いますね。

 不確かだろうというところから、いつのまにか、なかったんだということにまでなるわけですね。しかし、『なかった』とは言えませんよね。例えば、先ほどの南京郊外のひとつの師団の二日間にわたる捕虜処分だって、二万人を殺しているんですよ。それを『なかった』とは言えませんよね」

能川「例えば、犠牲者の数の問題ですけども、一般的に、広島の原爆の犠牲者数は、即死させられた人が7、8万人で、1945年内にだいたい14万人が亡くなったというのが一般的な知識になっています。今まさに、3.11以降問題になっているように、放射線の影響というのは、これは0か100かではなかなか言えないですよね。

 しかも、時間が経てば経つほど曖昧になっていきます。そうすると、即死させられた7、8万人は確実だとして、じゃあそれ以降の放射線の影響で亡くなられた人々のうち、いったいどこからどこまでが原爆のせいなのかということになりますね。

 これを、例えばアメリカ人が本気で問題にしだして、科学的に、原爆のせいで死んだと判断できる人間だけを犠牲者数にしろと言いだしたら、どうするかということですよね。

 我々日本人のほとんどは、そういうことを想像したことすらないと思います。例えば、広島市の原爆死没者名簿には、現在、約28万人ぐらいの方の名前があります。これは、被爆者認定とはまったく別で、とにかく被爆されて亡くなった方のすべてを対象に、遺族からの申し出があれば登録されているんですね。それだって、アメリカがもし、28万人というのは数を増やしすぎだろうなどと言い出したら、どうするのかということですよね」

岩上「それこそ、『広島原爆のまぼろし』になりかねませんよね」

能川「なりかねないわけですよ。だけど、我々が、追悼のための数字として、その28万人というのを不適切だと思うだろうか、と。こういうこともちょっと考えてみないと、本来はいけないはずなんですよね」

岩上「原爆で放射線を浴びて、内部被曝をした人もいますし、ずっと後になって具合が悪くなった人もいます。手帳を貰えた人と貰えなかった人もいるけども、貰えなくても同様の障害で苦しんで亡くなった方もいる。それらをある程度多く見積もると、その程度の数字になると思います。これもみんな犠牲者じゃないですか、という時には、そうですね、ということになるのは当然です」

能川「ところが、それに対して、科学の名のもとにケチをつけることが、実は出来てしまうんです」

岩上「もしこのように、原爆を投下しておきながら、その被害を最小に見積もっていく人間たちがいるならば、我々日本人は、冒涜だと感じます。さらには、原爆投下による被害者はなかった、とでもいうようになるのならば、これは本当に許しがたい話だと思います。また、『あのとき一般市民は殺していない』などと言い出すとしたら、たいへん不愉快な話になります。南京大虐殺に関して、これと、同じことを言っているに等しいわけですね」

能川「そういうふうに、視点を変えたところから見てみる必要もあるだろうということですね」

岩上「そうですね。相手の立場になってみる。そうすると、現在、中国人がその子孫も含めて、どれだけ傷つくか、と考えてみる必要がありますね。侵略をしておきながら、その侵略の過程でたくさんの犠牲を出したことを、過少に見積もろうとする大日本帝国の子孫がいるわけですから。

 現在の中国人の心理としては、これまで侵略に関わった世代は許せないが、その子供や孫の世代には罪が無いと思っていたんだけど、子供や孫の世代の中に、『親父やじいさんらの世代は、そんなひどいことをしてない』と言い出す者が現れて、驚いている、ということですよね。

 これは、現代の中国人としては、たいへん怖いと感じると思いますし、非常に嘆かわしいことだと感じるでしょう。それは当たり前のことじゃないですか」

能川「ある人がネットで言っていましたけど、もし、あのオウム教団の後継のアレフが、地下鉄サリン事件なんかなかったと言ったらみんなどう思うか、と。それと同じことじゃないかということですよね。

それから、あと、よくある手としては、記念館の展示などに使われる写真について、文句をつける。これも常套手段ですね。東中野修道氏が、『南京事件「証拠写真を検証する』という著作を出しています。(※1)

ここに、『私の従軍 中国戦線』という写真集があります。村瀬守保(※2)という方が、自分が撮影した写真にキャプションをつけて、作った写真集なんですね。実は、この写真も、その東中野氏らが書いた証拠写真を検証するという本のなかで取り上げられているんです。

 この写真は、要するに、揚子江の江岸にたくさんの死体が流れ着いているというものです。東中野氏らが書いた本では、小さなサイズで映っているので、よく分からないのです。

 彼らは、これは戦死者の死体が流れ着いたんじゃないかとか、そういうふうなことを言っているんですが、よく見ると、例えば、後ろ手に縛られた死体が写っているんですね」

岩上「あ、ほんとうに。この人とかそうですね」

能川「腕の角度から見て、手を後ろで縛られているわけですよ。捕まえた中国人を後ろ手に縛って、連行して殺したという証言がいくつかあるので、日本軍の殺し方とまさに符合しているというわけです。

 後ろ手に縛られた死体が、通常の戦闘の戦死者である蓋然性は、まあないですよね。これは、捕まえて武装解除した捕虜を殺して、その死体が集積したものだと考えるのが妥当だろうと思います。

 彼らがニセモノだと主張している写真の中に、実はちゃんと見れば、紛れもなく虐殺の証拠になっているというものが存在するということですね」

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(※1)東中野修道:鹿児島大学法学部教授。専門は日本思想史。1998年、『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社)を出版し、南京大虐殺の資料はすべて捏造であり、虐殺はなかったと主張した。この著書をめぐり、南京大虐殺の生存者の一人である夏淑琴(シア・シュウチン)氏から「ニセ被害者呼ばわりされて、名誉を傷つけられた」として、名誉毀損で提訴された。審理は中国の裁判所と日本の裁判所と二ヶ国の裁判所で独立して行われ、判決は両国の裁判所とも東中野氏の非を認め、東中野氏と展転社に対し賠償命令を出している。他の著書に、『1937 南京攻略戦の真実-新資料発掘』(小学館、2003年)、『南京「百人斬り競争」の真相』(ワック、2007年)など。(参照:Wikipedia【URL】http://bit.ly/1eKaGxk

(※2)村瀬守保『私の従軍 中国戦線~一兵士が写した戦場の記録』(日本機関紙出版センター、2005年)出版社による紹介文:1937年(昭和12)から2年半、中国各地を転戦しながら写した3000枚の従軍写真。巨大な狂気の渦に巻き込まれた日本人兵士や中国民衆の姿。貴重な写真の数々が装い新たに終戦60年の今、歴史を証言する。(【URL】http://amzn.to/1jgHlX5

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