「ヘイトスピーチ」規制を検討している大阪市長の橋下徹氏と、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」会長の桜井誠氏が、10月20日(月)、大阪市役所で意見交換会を行った。しかし、対面は冒頭から、「お前なあ」「お前とはなんだ!」などといった発言が飛び交い、両者が立ち上がってつかみ合いになりそうな場面も見られた。
橋下氏は桜井氏に対し、「お前の主張は国会議員に言え」「統一地方選に立候補しろ」などと、政界入りを促したが、桜井氏は「私は政治に興味がないんだ」と返答した。
議論らしい議論が成立せず、罵り合いの状態が続いたため、橋下氏が席を立つと、桜井氏は「(橋下氏が過去に顧問弁護士を務めていた)飛田新地に帰れ!」と意見した。
- 日時 2014年10月20日(月) 16:00~
- 場所 大阪市役所(大阪市北区)
- 記事目次
- 桜井氏による面談前のデモンストレーション
- 開始冒頭から一触即発で罵りあう両者
- 「おまえ」「あんた」という言葉で呼びあう、よく似た間柄の二人
- 橋下氏、先輩政治家として桜井氏に立候補を勧める
- 大阪市長「『朝鮮人は出ていけ』とかくだらないことはやめろ」在特会長「それの何がいけない?」
- 橋下氏は自分の城から桜井氏を排除。一方「橋下氏は逃げた」と勝ちどきを上げる桜井氏
桜井氏による面談前のデモンストレーション
橋下氏より先に会場入りしていた桜井氏は、「おい、ゴロツキメディア、お前らよく来たな!」と詰めかけた報道陣を威嚇。「君たちみたいな人権無視をする連中を誰も呼んだ覚えはありませんのでね」などと、自分のことをまるで棚に上げる発言が続いた。
桜井氏は扇子を片手に持ち、時折それで自分を扇ぎながら、「さっき、上の階で勝手にカメラ回していた奴誰だ!なんで無断で撮るんだ!名乗り出ろよ!だからゴロツキだっていうんだ! 恥を知れ、恥を! 真実を伝えるメディアじゃないんですか」などと執拗に記者らに激しい言葉を投げつけた。
桜井氏は、共同通信に「極左」、毎日新聞に「変態」、朝日新聞に対しては「慰安婦問題でさんざん捏造をやって、恥ずかしいと思わない?」という言葉を投げつけ、それぞれの報道姿勢を批判しようとした。
開始冒頭から一触即発で罵りあう両者
橋下市長「先に言ってもらったらいいんじゃないですか」
桜井氏「ああ、そうですか、まずね、色々と言いたいこともあるんですけれども、ヘイトスピーチについておうかがいできます?」
橋下市長「僕の意見を聞くんじゃなくて……」
桜井氏「いや、あんたが言い出したことやろ」
橋下市長「あんたじゃねえだろ」
桜井氏「おまえでいいのか、じゃあ? あのね、まずあなたが、ヘイトスピーチうんぬんて言い出したことでしょ」
橋下市長「大阪で、もう、そういう発言はもうやめろと言ってるんだ」
桜井氏「どういう発言なのかって聞いてんだよ!」
橋下市長「民族とか国籍を一括りにして評価をするような、そういう発言はやめろと言ってるんだ」
桜井氏「朝鮮人を批判することがいけないって、あなたは言ってるわけ?」
橋下市長「おまえな……」
桜井氏「おまえって言うなよ!」
橋下市長「うるせえ。おまえ、おまえだよ」
桜井氏「なんだよそれ……」
(桜井氏が立ち上がり橋下市長に詰め寄ろうとする。橋下氏も立ち上がる。両者の距離は約2メートル。橋下氏の背後に控えているスーツの男たち約10人が素早く両者の間に割って入る。二人はお互いをにらみ合う)
桜井氏「それでも男かよ、こうやって守られやがって」
(桜井氏がスーツの男たちに促され着席する)
橋下市長「座れ。勘違いするなよ、おまえ」
桜井氏「そちらこそ、勘違いしないでもらえるか」
橋下市長「おまえな、勘違いするなよ」
桜井氏「君は公僕だろ?」
橋下市長「公僕がなんだよ」
桜井氏「公の僕(しもべ)であって……」
「おまえ」「あんた」という言葉で呼びあう、よく似た間柄の二人
橋下市長「おまえみたいのは許せねえって言ってんだよ!」
桜井氏「だったらやってみろよ、男だったら一対一で! なんだよ、後ろの警備は? 人に命、守ってもらわなきゃ、なんにもできないんだったら、最初から言うな!」
橋下市長「大阪でおまえな、そういう発言はやめろ」
桜井氏「どういう発言なんだって聞いて、答えられないだろ、君?」
橋下市長「おまえ国会議員に言え」
桜井氏「は?」
橋下市長「おまえの主張は国会議員に言え」
桜井氏「あんたの(聞き取り不能)の国会議員に言ってるよ」
橋下市長「言えよ」
桜井氏「おう、言ってるよ」
橋下市長「どんどん言え」
桜井氏「それで終わりじゃないか、話は」
橋下市長「参政権を持ってない、おまえ、在日韓国人の人に言ってもしょうがねえだろ」
桜井氏「その参政権を求めてるだろ彼らは……」
橋下市長「強いものに言えよ」
桜井氏「言ってるだろうよ」
橋下市長「もっと弱い者いじめばかりするんじゃなくって」
桜井氏「じゃあ、いったいどう弱い者いじめをしたか教えてくれるか?」
橋下市長「国会議員に言え、政府に言え、東京に行ってこい。で、統一地方選挙あるだろ? 立候補しろ」
桜井氏「君ね、なんで私を呼んだんだ、そしたら?」
橋下市長「民主主義……おまえがな……」
桜井氏「(右手に資料を持ちながら)記者会見のあんたの発言、全部ここに抜き出してるけど、最初におまえが呼んでるだろうよ」
橋下市長「民主主義なんだから、選挙やって」
桜井氏「それで、いつも逃げてるだろ」
橋下市長「くだらねえ、そんな政治団体か何か知らねえけどな、そんなしょうもないことやるんじゃなくて、今度の統一地方選挙でおまえ訴えたらいいじゃないか」
桜井氏「わたし、政治に興味ないので」
橋下市長「だから、もう、そういう在日の特定永住制度とか、そういうことに文句があるんだったら、それを作った国会議員に言えって言ってるんだよ」
桜井氏「言ってるんだよ。そして何よりもね、特別永住制度なくしたらどうなるかわかるだろ」
橋下市長「だから、国会議員に言え」
桜井氏「言ってるって言ってるんだよ」
橋下市長「特定の個人が、ルール違反をやってる特定個人がいるんだったら、刑事告発しろ。民族をまとめて、国籍をまとめて、それに対して、評価を下したり、ああいう下劣な発言はやめろ」
桜井氏「どういう下劣な発言なんだって聞いてる」
橋下氏、先輩政治家として桜井氏に立候補を勧める
橋下市長「裁判所で認定されてる事実を……」
桜井氏「私が言ったのかよ」
橋下市長「まだ、1審、2審だから、最高裁でまだ可能性もあるから、まだ断定はできないけど、そういう主張があるんだったら、ちゃんと、政治家に言うか、それか立候補して訴えろよ」
桜井氏「なるほど、君は政治家じゃないんだね?」
橋下市長「訴えろ」
桜井氏「いや、君は政治家じゃないんだろ?
橋下市長「おれは大阪市長」
桜井氏「うん。その大阪市長が、何の権限があってヘイトスピーチがどうのこうのって言ってるの?
(手にもった資料を示し)これ、(聞き取り不能)の君の記者会見たよ。自分が相手をするから来いと、こう言ってるんだよ。しかも、9月になんて言ってるよ。「僕に簡単に会えると思うな」とかね。
ふざけたこと言うな。頭おかしいのか君は。7月に言ったことと、9月に言ったことと全然違うだろ。政治家に言えって言うから、あんたにも言ってるだろうよ。どうだ」
橋下市長「国会議員に言えって……」
桜井氏「そして何よりもね、特別永住制度をなくすためには日本の(聞き取り不能)……」
橋下市長「市役所の前で訴えてもいいけど、韓国人や朝鮮人を一括りにして、それに対してああだこうだ言うなっつってんだ、大阪では」
桜井氏「日本人を一括りにしてね、誹謗中傷をやるから、叩き返しているだけだろうよ。おまえも日本人の代表だったら少しくらい言えよ、韓国人に」
橋下市長「特定個人が誰なのか、特定個人をちゃんと指摘しろよ」
桜井氏「朴槿惠(パク・クネ)でもいいよ。君が言ってやれよ」
橋下市長「それで、刑事告発でもなんでもしろよ、民主主義のルールに基づいて」
桜井氏「こちらも民主主義にルールに基づいてデモ行進やってんの」
橋下市長「何か勘違いしてるんじゃないのか、おまえ?」
桜井氏「何が?」
橋下市長「おまえ、自分で世の中変えれる力あると勘違いしてるんじゃないか、おまえ?」
桜井氏「そりゃ、あんただろうよ。たかが、一地方の首長ごときでふざけたこと言うなよ」
橋下市長「だから、おまえ立候補して当選してみろよ」
桜井氏「政治にまったく興味ないんでね。政治家っていうのはの、この世でもっとも醜悪な人種だと思ってるんでね」
橋下市長「当選してから言え」
桜井氏「悪いけど、政治に興味がない人間が言ったってしょうがないだろ」
橋下市長「(前後聞き取り不能)……政治的な……」
桜井氏「政治を信じてない人間が政治に出るのはね、なによりも、これね、冒涜行為だろ。違うか?」
橋下市長「世の中をなあ、変えるのは、そんな簡単じゃないの」
桜井氏「わかってるよ。君を見てればよくわかるよ」
橋下市長「統一地方選挙をやって、ちゃんと訴えて……」
桜井氏「これは選挙の話じゃなくてヘイトスピーチじゃなかったのかい!」
橋下市長「支持されるかどうか……」
桜井氏「話をそらすなよ!」
橋下市長「おまえみたいな差別主義者はな、大阪にはいらない」
桜井氏「おまえ、誰が差別主義者だよ?」
橋下市長「おまえだよ」
桜井氏「なんで差別主義者なんだ、教えてくれるか?」
橋下市長「おまえだ。民族を一括りにしてしゃべるなって言ってるんだ」
桜井氏「ということは、韓国人はみんな差別主義者か?」
橋下市長「ルール違反があるんだったら特定個人を……」
桜井氏「おい、どうなんだ! 韓国人がみんな差別主義者か答えろよ!」
橋下市長「おまえだよ、差別主義者は」
桜井氏「おまえ、どうして、そうして話をそらすわけ?」
橋下市長「もうやめろって。もうわかってんだろ? 自分で」
桜井氏「それはあんただろ。自分で言ってるの、めちゃくちゃじゃないか」
橋下市長「とにかく、大阪では、おまえみたいな活動はいらないから。ちゃんと政治的な主張と、通常の表現の自由に収まるような主張に変えろって言ってるんだ」
桜井氏「おまえね、こないだ、在特会がおとなしくなったとかなんとか言ってただろ? ああいうデモしか、われわれやったことないんだよ。それ以外のデモで、あんたが言う、ヘイトがどうのこうのっていうデモがあるんだったら、ちょっと、日付言ってくれる?」
大阪市長「『朝鮮人は出ていけ』とかくだらないことはやめろ」在特会長「それの何がいけない?」
橋下市長「普通にやれ」
桜井氏「普通にやってるんだよ」
橋下市長「表現の自由の範囲で、普通にやれ」
桜井氏「だから、それをあんた、確認したって言ったじゃんか」
橋下市長「だから、民族を一括りにして言うな。『朝鮮人は出ていけ』とかな、『ゴミはゴミ箱』、『朝鮮人は半島に帰れ』とか、そういう下らないことはやめろと」
桜井氏「それ、いったい何が悪いわけ?」
橋下市長「特別永住者の制度がおかしいんだったら、ここがおかしい、ここをこうしろ。これはおかしんじゃないかと、そういうことを言え」
桜井氏「朝鮮人は朝鮮半島へ帰れっていうのはひとつの意見だろうよ!」
橋下市長「やめろと。民族を一括りにするのは」
桜井氏「おまえ、民主主義否定するのやめろよ。言論の自由を否定するのやめろよ。あんた民主制の下で選挙で受かったんとちがうんかい? 民主制否定するんだったら辞めてからやれよ」
橋下市長「選挙出てからやれよ」
桜井氏「飛田新地帰れよ」
(会場から笑い声が一つ飛ぶ)
橋下市長「選挙出てからやれよ」
橋下氏は自分の城から桜井氏を排除。一方「橋下氏は逃げた」と勝ちどきを上げる桜井氏
桜井氏「選挙に興味がないって言ってる。あんたたちみたいな権力欲ばっかりじゃないんだよ、人間は。日本を少しでも良くしたいと願う。あるいはね、日本に対して冒涜行為を働く、暴言を働くような人間がいたら、怒って当たり前と違うか?」
橋下市長「おい、勘違いするなよ、おまえ。いい加減にしろ。もう終わりにしましょうか?」
桜井氏「帰れ! さっさと!」
橋下市長「おまえ、ここ大阪市役所だぞ? おまえが帰れ」
桜井氏「おまえが呼んだんだぞ? だから、外でやれっつったろ!」
橋下市長「帰れ、帰れ」
(会場から、生活保護の問題に対して大阪市役所を批判する声が飛ぶ)
橋下市長「帰れ」
桜井氏「生活保護の問題は……」
橋下市長「施設管理権は大阪市長にありますから、帰れ」
(橋下氏は席を立つ。スーツの男たちが橋下氏の周りを囲む。桜井氏も立ち上がる)
桜井氏「みっともないったらありゃしねえな、この男は。言い逃げかよ。
さよなら、弱虫の橋下君。二度と会うことはないと思うけど、さっさと帰れ。飛田新地に帰れー!
はい、終わり。
はい、ごらんの通り、橋下知事、いや市長、失礼しました。市長、逃げ出しました。以上でございます」
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