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2015/11/09 【大阪】小林節氏×白井聡氏、大阪府市ダブル選幕開け集会で「橋下維新継続NO!」 ~「共産党の協力を歓迎せよ」優柔不断な自民府連への不満も

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特集 大阪都構想

「大阪だけじゃない! 日本の明日を左右する大阪市長・府知事W選挙、その行方は!? 」短期集中全公開中!
※11月15日テキストを追加しました!

 2015年11月5日公示の大阪府知事選と11月8日公示の大阪市長選、いずれも11月22日投開票の「大阪ダブル選」が幕を開けた。今回は橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会(以下、大阪維新)」と、自民党を核にした「反維新勢」の対決である。反維新勢側には、「ここで橋下維新の党勢を削いでおかねば」との思いが強い。

 2015年11月9日、大阪市内で開かれた集会では、「今回のダブル選は来夏の参院選の前哨戦である」との認識で共通する、小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)と白井聡氏(京都精華大学専任講師)が登壇。白井氏は「ダブル選で最悪なのは、大阪維新が2勝すること。そうなれば、橋下氏の中央政界入りが濃厚になる」とし、政治家として類稀な求心力を持つ橋下氏が、安倍総理と手を組むことを防ぐためにも、反維新勢は最低でも「1勝」はもぎ取らねばならないと強調した。

 ダブル選で公明党は自主投票を決めている。大阪維新と反維新勢が同党の票を奪い合うのは必至だ。大きく戦局を左右するのは、大阪維新の候補者と一騎打ちになる自民推薦の候補者を、民主と共産の両党がどこまで応援できるか、という点だ。白井氏は「(共闘に不快感を示しているとされる)安倍総理の機嫌をうかがいながら、選挙戦を闘いたいというのが(自民府連の)が本心だとしたら、大阪維新に入れてもらった方がいい」と断じた。

■Ustream録画(録画配信映像 1時間35分)

  • 弁士 小林節氏(慶應義塾大学名誉教授)、白井聡氏(京都精華大学専任講師)、辻恵氏(元衆議院議員)
  • 日時 2015年11月9日(月) 18:00~
  • 場所 御堂会館(大阪市中央区)
  • 主催 オール関西 平和と共生(代表 辻恵)
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いまだに大阪で根強い「橋下人気」 〜元衆院議員・辻恵氏「大阪維新は油断が許される相手ではない」

 集会では、元衆院議員の辻恵氏(弁護士)が主催者側を代表して立ち、(大学生が中心の若者グループ)SEALDs KANSAI(シールズ関西)の動きを紹介した。

 「彼らは4日の夕方から、梅田のヨドバシカメラ前で街頭演説を行った。彼らは、橋下政治に終止符を打たねばならない理由に『基本的人権の侵害』『議会の存在を無視している』『生活サービスの削減』の3つを挙げたが、まったくその通りだ」。

 SEALDs KANSAIは、この3点についてそれぞれ、「公務員に対する思想チェックの実施」「大阪都構想を決めていく際の、法定協議会からの他党の排除」「特別養護老人ホームの建設補助を1床371万円から270万円へ削減」という、大阪維新が行った3つの施策を例にあげて指摘している。

 辻氏は、ダブル選の争点は「自由と民主主義を守る政治を大阪に取り戻すことにある」と訴え、「この思いは、SEALDs KANSAIの面々はもとより、この会場にいるみなさんとも共有できるに違いない」と述べた。

 市長選に関する世論調査では当初、(大阪維新公認の)吉村洋文候補(前衆院議員)がリードしていたが、今は(自民推薦の)柳本顕候補(前市議)とつばぜりあいを演じている。しかし辻氏は、一方で大阪の「橋下人気」は依然として根強いことに、危機感を示した。

 「5月の都構想をめぐる住民投票では、僅差で橋下改革が阻止されたことを忘れてはならない。(橋下氏が率いる大阪維新は)油断が許される相手ではない。最低でも、市長選で吉村候補を敗北に追い込まねば、大阪維新を潰すことは不可能だ。来年夏の参院選で、安倍・自民党に勝つための第一歩が、今回のダブル選である」。

「安倍・橋下」の関係を崩せるか

 続いて登壇した小林氏は、「主権者である国民は、言ってみれば日本という会社の株主だ」と強調し、立憲主義を蔑ろにしてきた安倍総理の国会運営を批判。そのうえで、「最近は『そういう安倍総理を退陣させるには、どうしたらいいか』ばかり考えている。その一環として、大阪維新のことが頭に浮かぶ」と語った。

 「東京の維新に比べると、大阪維新は主張に一貫性がない」と指摘した小林氏は、「強い求心力を持つ政治家」としての橋下氏を安倍総理が高く買っていることに触れ、「両者の切り離しを成功させるためにも、(国政で)政権交代を目指す野党の団結が不可欠だ」と力を込めた。

 小林氏は、「国民連合政府」のための野党結集を掲げた共産党が、他の野党と意見の食い違う「日米安保条約の廃棄」と「自衛隊の解消」などの(同党の)方針を凍結したことを讃え、さらにこんな裏話を披露した。

 「(安保法成立後に)自公以外の政党の党首らと懇談する機会があったが、『(共産党が提唱する)構想は正しいが、わが党に音頭をとらせてほしかった』といった発言があった。ようするに、党首としてプライドが傷ついたのだ。人間には感情で動く部分あるが、こうした発言があったことは、志位和夫委員長(共産)に伝えてある」。

民間人校長起用の失敗は「ファシズム」が原因

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 とはいえ小林氏は、来夏の参院選を見据えた「野党共闘」の実現可能性は高いと予測する。

 「参院選が近づいてくれば、(強力野党が存在しない現状では)なりふり構わず手を握り合うほかない。民主党の幹部らは、共産党との政策の違いをしきりに強調しているが、だったら自公連立は、なぜ実現しているのか。政治家は学者ではない。妥協の姿勢が肝要なのだ。自分の主張の3~5割が通れば、先に進むという姿勢がないと、国民のニーズにいつまでも応えられなくなる」。

 そして小林氏は、国政選挙で自民党が負ければ、「権力のコバンザメである公明党は連立を解こうとするはず」とし、さらに「橋下氏も権力を失った自民党には魅力を感じまい」と強調したうえで、次のように語った。

 「(大阪維新の党を母体に)日本維新の会が誕生した2012年当時を思い出してほしい。石原慎太郎と橋下徹という東西の人気者が、厳密には、1人は一部の層に人気があるだけだったが、とにかく、その2人がくっついて、その年に、自民党も民主党も単独過半数は無理とされた国政選挙でキャスティングボード(決定権)を握り、一気に政権に入り込もうとしたのだ。

 大阪維新は出自が悪く感じられる。橋下氏が率いる大阪維新は終わらせるべきだ。都構想の住民投票で敗れた直後の橋下氏の引退表明は好感できたが、その後の彼の発言からは、人格面の問題性が感じられる」。

 続いて白井氏が、「橋下氏が大阪で進めてきたのは、ファシズムだ」と切り出した。ファシズムの定義を「人間であるなら、程度の差はあれ、誰もが持っている悪い気質に依拠する政治」とし、橋下氏が行ってきた「ファシズム」は教育改革の酷さに象徴されると指摘。「民間人の公立学校長などへの起用は、相次ぐ各種ハラスメントや万引きという結果を招いた」とし、これは必然的な結果だった、と言い切った。

 「トップダウン方式と競争原理の導入で教育はよくなる、というのが橋下氏の考えだったが、これだと、教育のことを知らない素人が部下を怒鳴るばかりのオチにしかならない。言い替えれば、そういう威圧的な仕事をしたい向きが、橋下氏が掲げた校長公募に応募したとみられる。大坂維新の党員らも似たタイプではないのか」。

安倍氏と橋下氏、「危険」なのはどっち?

 橋下氏や安倍総理の政治家としての求心力について、白井氏は、「90年代以降の長期経済不振の中で、かなり荒んでしまった人々の心をケアするというよりも、むしろ、焚きつけることで掌握してきた」と指摘した。

 白井氏は、長期の経済不振で荒んでいる心に対して「競争」をキーワードにした焚きつけを行っても、いい結果につながりにくいと分析。自分たちの窮状の原因を在日外国人に見出そうとするヘイトスピーチ(差別的発言)の台頭や、経済的成功をさほど苦労せずに得たい欲望から、浅はかな自己啓発本に飛びつく動きが、若い世代に顕著であることなどの弊害面が小さくない、との見方を示した。

 白井氏は、低成長時代がすでに本格化している中で、人々を無理に前向きにしようとする空気が広がる今の日本社会は異様だとし、焚きつけ役キーパソンの1人である橋下氏に対しては、「ファシストとしては、安倍総理より実力が上だ」と語った。

 「安倍総理は、世襲で巨大権力を手中に収めたにすぎないが、橋下氏は裸一貫からのし上がったタイプで、ある意味で非常に能力が高い。都構想選敗戦直後の、あの引退宣言は巧みなダメージコントロールだったのではないか。あのように宣言すれば、『政治家・橋下復活』を望む世論が高まることを、彼は読んでいたと思われる」。

 白井氏は橋下氏が、原発、沖縄基地、安保法制で人々の心を射抜くような発言をしてきた点にも着目する。

 「彼は政治家に転身してからは、たまにいいことを言っている。福島原発事故後には、その後の翻意は別として、関西電力に対し、強硬に『再稼働は容認しない』と告げた。また、普天間米軍基地の移設でも、『名護市辺野古の人たちがあんなに嫌がっているなら、関西空港で引き受けたらどうか』と一度はコメントしている」。

反維新勢の共闘に「魂」は入るか

 そして、安保法制がまだ法案だった今年6月には、安倍総理に似た憲法観を持つ橋下氏が、「自衛隊の海外派遣を国会が認めた場合は、国会議員は戦場に行くべき」と、多くの人がそう思っていても口にはできなかったことを、すぱっと口にしている。

 白井氏は、「もっとも橋下氏の発言は、どれも信用できないが」と言いかぶせた上で、「ようするに、彼には本当にやりたい政策はないように思える。彼はこれまで、大阪の人たちを、権力を利用した『壮大なる自分探し』につき合わせてきたのではないか。次は国政で、国民を相手に同じことをやろうとしているように思える」と語った。

 「ダブル選で最悪なのは、大阪維新が2勝を上げること。そうなれば、橋下氏の政治家としての株価は急騰し、中央政界入りが濃厚になる。それを受けて大阪では、自民府連が大阪維新に屈服することは避けられない。つまり、大阪では(都構想への再挑戦も掲げている)大阪維新のやりたい放題が繰り広げられることになる」。

 ダブル選での「大阪維新2勝」を是が非でも食い止めなければならない、と力説する白井氏は、「都構想への反対を出発点に、反大阪維新の政党勢力が大阪には形成されてきたが、これが『(保革超越の反基地共闘)オール沖縄』のように中身を伴うものになるかが、カギだ」とした。

 「大阪の共産党には、自民党推薦の候補者への応援に積極的になれないフシがあるようだが、ダブル選の争点は、大阪維新のファシズムを終わらせるのが狙いであることを、肝に銘じてほしい」——そう言い重ねた白井氏は、一方の自民府連にも、「安倍総理の機嫌をうかがいながら選挙戦を闘いたい、というのが本心だとしたら、大阪維新に入れてもらった方がいい。そのような本心がなければ、共産党の協力をもっと歓迎しているはず」と辛らつな言葉を浴びせた。

 「反大阪維新勢が2勝したとしても、有権者たちは、当選後の自民推薦の府・市長の言動に注視することになる。(安倍政権の)ファシズムに同調するだけなら、2人に票を投じた有権者たちは、すぐに自民府連に反旗を翻すだろう」。

(IWJテキストスタッフ・富田充、記事構成:佐々木隼也)

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