特集 戦争の代償と歴史認
2013年6月18日(火)17時から、東京都千代田区の衆議院第二議員会館において、「歴史認識 請求権 徹底論議!院内集会」と題する集会が開かれた。集会では、中央大学教授で歴史学者の吉見義明氏が、「歴史認識―日本軍『慰安婦』問題の本質は何か!」とのテーマで講演し、6月4日に橋下市長宛に提出した、慰安婦問題に関する公開質問状の内容を詳細に解説した。
■内容
1.歴史認識―日本軍「慰安婦」問題の本質は何か!橋下市長への公開質問状より
講師:吉見義明氏(中央大学教授)
2.補償の法的根拠―政府の「解決済み論」を乗越える!最高裁判決を前提に被害者への個人補償を
講師:川上詩朗氏(弁護士)
3.質疑応答・意見・情報交換
■主催:「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク
公開質問状は全9章に及ぶもので、慰安婦制度の実態や国際的な評価、当時の国際法や公娼制度との関連性、軍や官憲による暴行や脅迫、強制連行という犯罪性の有無に加え、安倍内閣の閣議決定と橋下市長の見解との整合性や、吉見教授自身の認識などについて、橋下市長を論理的かつ徹底的に問いただす内容となっている。質問状に対する回答期限は7月5日としており、回答がない場合は訴訟も辞さない構えだ。
吉見教授は「慰安婦制度は、日本政府や軍による、居住や外出、廃業や拒否の自由のない『性奴隷制度』である」と断じ、さらに「かつての侵略戦争を反省し、慰安婦問題を解決していくことが、日本人の新たな自信と誇りにつながる」と持論を述べた。
また、昨年8月の会見で「吉見氏が『強制連行という事実というところまでは認められない』と言っている」と橋下市長が述べたことについて、さらに、5月27日に行われた日本外国特派員協会での橋下市長による会見で、日本維新の会の桜内文城・衆議院議員が、吉見教授の文献を「捏造」と発言したことについて、「撤回と謝罪を求める」とした。
一方、東京弁護士会で人権擁護委員会委員を務める川上詩朗弁護士が、「補償の法的根拠 ―政府の『解決済み論』を乗り越える!」とのテーマで、人権問題に取り組む弁護士の立場から発言した。
この中で川上弁護士は、中国人慰安婦問題及び強制連行に関する、最高裁のいわゆる「西松判決」について、「個人賠償請求権が実体的に残っていると最高裁が示している」と述べたほか、「裁判所としては判断できないとしながらも、『被害者救済に向けた努力をすることが期待される』とあえて言っている」と解説した。
また、韓国憲法裁判所の判決内容も紹介し、慰安婦問題解決のため、日本政府による政治決断を求めていく必要性を強調した。【IWJテキストスタッフ・久保元】
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