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Channel: 橋下徹 – IWJ Independent Web Journal
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上告断念のお知らせ

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 IWJの会員の皆様、また削除済みリツィート裁判に際してご支援をいただいた皆様へ。

 本日は、残念なお知らせがあります。

 橋下徹氏から私が提訴され、大阪高裁まで争ってきた、削除済みリツィート裁判ですが、弁護団と協議をした上で、上告を断念することにしました。

 一審、二審とも、判決の結果とその内容に関しては不服であり、納得していません。

 とりわけ、いったんリツィートしてしまったら、直後に思い直して削除しても、一切免責されない、という判決は、あまりにも厳しすぎます。ミスタッチという過失も頻繁に起こりやすく、だからこそ削除機能をデフォルトで備えているSNSの特性を、裁判官が十分に理解しているとは思えません。この判決が規範化すればSNSユーザーに重大な影響を与えると危惧しています。

 SNSにおける公人への政治的批判を含んだ言論の自由の行使と、私人への中傷行為とは峻別されるべきです。私は前者の場合、言論の自由の保障の趣旨を徹底すべきであると思いますし、後者は人格権が尊重され、中傷行為には制約があって然るべきだと思います。

 日本においては、いまだにインターネット上の言論空間における権利の調整のためのルールが十分に確立されているとはいえません。

 大阪高裁は、リツイートについて、投稿した「経緯、意図、目的、動機等のいかんを問わず、当該投稿について不法責任を負う」としました。大変疑問の残る判決です。

 最高裁では、事実認定を争うことはできず、憲法違反か判例違背、法令解釈の誤りの理由で争うしかできません。申立を棄却される可能性も低くはなく、その場合大阪高裁の判断が最高裁の規範とされてしまうことを念頭におかざるを得ません。

 勝ち負けはともかく、最高裁まで訴え出てること自体、意味がある、という考えも、私のもとに寄せられました。

 一方で、いったんリツィートしてしまえば、直ちに削除してもその科は免れないとする今回の判決に、最高裁のお墨付きを与えることはいかがなものか、という意見も出されました。

 さまざまな意見の間で非常に悩みましたが、この度は上告を見送ることとする、というのが今回の結論です。

 この不当な判決に対して、今回、上告を断念はしますが、今後も様々な手段で、言論の自由と、人格権が尊重される社会の実現のために闘っていきたいと、改めて決意しています。

 SNS、あるいはインターネットにおける言論の自由保障と人格権の尊重の調整というテーマは、今後も続く課題です。誰もが当事者となりうるテーマであるともいえます。

 今後も、こうした問題意識と真摯に向き合い、ジャーナリストとして活動を続けてゆく所存です。

 人格権を尊重しつつ、市民的言論の自由が後退してはならないと強く思っております。与えられた宿題に対しては、「他日を期す」とのみ、申し上げておきたいと思います。

 これまで、2年半の長きにわたって、この裁判を戦う私と弁護団をご支援くださった皆様には、無念な報告であり、本当に申し訳なく思っております。

 と同時に、弁護団の弁護士の皆様、そして支えてくださった全ての皆様へ、御礼を申し上げ、報告のご挨拶に返させていただきたいと存じます。

 皆様、長きにわたり、ありがとうございました。今後とも、ご指導、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

2020年7月7日
岩上安身拝


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